青葉台通信

作者プロフィール:大阪大学医学部卒、大阪大学附属病院・ピッツバーグ大学メディカルセンター等での勤務後、現在は福山にて地域医療に従事。 様々ながんの入り口から出口までのケアと、生活習慣病から看取りまで、「不安を取り除く」「患者さんに寄り添える」医療のあり方を日々模索しています。 こちらのブログでは、日常診療で感じたこと、学んできたこと等、日記でお伝えする予定。趣味はバイク、好物はマンゴーと杏仁豆腐。

毎年2月に行われる日本医師会医療情報システム協議会に昨年に引き続き参加するため東京へ行って参りました。福山市医師会の情報担当委員としての参加ですが、いつも私だけがヒマなのか?他の先生方があまり行かれないこともあって、3年連続での参加です。

今年のメインテーマは「地域連携」。
国の補助金が出ている各事業がいよいよ来年度からスタートすると言うことで、今が一番ホットな話題かもしれません。
もちろん、福山市医師会でも地域健康医療情報ネットワークがパイロットスタディーとしてスタートしようとしており、他所での試みが大変気になるところです。

協議会は日本医師会の大ホールで各先生方の発表を聞く形で進みます。

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2月10日だけの参加ではありましたが、しっかりと勉強して参りました。
同時に、まだまだ勉強不足の部分も痛感

引き続き頑張って参ります。

日本人の胃がんの原因として大きな要因であったヘリコバクター・ピロリことピロリ菌の感染。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍に始まり少しずつ保険での除菌治療が広がっていましたが、肝心の胃炎状態での除菌がいままで保険適応になっていませんでした。

2月3日の朝日新聞によれば、

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ということで、若いうちにピロリ菌の感染を発見し早めに除菌してしまえば、将来日本における胃癌は激減する可能性もあります

現代医学で折角因果関係(これが悪いからこうなるとはっきりしている)が解明している、ピロリ菌→胃癌なのですから、ここに手を着けずにどうするの?って部分でしたので本当に朗報です

あとはもう一つの大きな因果関係、喫煙→がん、の流れも健康日本21で根絶していただきたいですね。

昨日のasahi.comにこの様な記事が

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糖質制限ダイエット、長期は危険? 死亡率高まる恐れ

http://digital.asahi.com/articles/OSK201301260043.html

 【桜井林太郎】ご飯やパンなどの糖質を控える「糖質制限食(ダイエット)」を5年以上続けると、死亡率が高くなるかもしれないとする解析結果を、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋医長らが26日、米科学誌プロスワンで発表した。死亡率が高まる理由はよく分かっていない。
 糖質制限食は「低炭水化物ダイエット」などとも呼ばれ、短期的には減量や血糖値の改善につながるという報告が出ているが、長く続けても安全かははっきりしていない。能登さんらは昨年9月12日までに発表された糖質制限食に関する492の医学論文から動物実験などを除き、人間での経過を5年以上追跡して死亡率などを調べた海外9論文を分析した。
 対象は、とくに病気がない地域住民や医療スタッフら計約27万人。摂取した総カロリーに占める糖質の割合に応じて10のグループに分けた。
 5〜26年の追跡期間中、計約1万6千人が死亡していたが、糖質摂取量の割合が最も少ないグループの死亡率は最も多いグループの1・31倍で、統計上の明確な差が出た。
 糖質制限食は「肉食中心になりがちで、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などのリスクが高まる可能性がある」との指摘がある。そこで、心筋梗塞などによる死亡率や発症率との関係を調べたが、はっきりした差はなかった。
 能登さんは「なぜ死亡率が高まるのか、原因の究明が課題だが、糖質制限食の長期的な利点は少ないのではないか。日本人も含めたさらなる検証の必要性がある」と話す。
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これだけ読むと、「えー、糖質制限ダメじゃない!」という事になるのでしょうけれど、中身をしっかり把握することが問題です。

これに対し、糖質制限の祖「ドクター江部」もすかさず反論されてました。

http://koujiebe.blog95.fc2.com/

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こんにちは

朝日新聞に、「糖質制限ダイエット、長期は危険?」という以下の記事が載りましたので、解説及び反論します。


『糖質制限ダイエット、長期は危険? 死亡率高まる恐れ

この朝日新聞記事の、能登洋医長の論文は、中糖質群(糖質30〜40%)と高糖質群(糖質60〜70%)の比較研究です。

従いまして、スーパー糖質制限食(糖質12%)とは、何の関係もない論文です。

第47回日本成人病(生活習慣病)学会での能登先生の発表に関する日経メディカルの記事が、下記の緑字の文章です。朝日新聞よりかなり詳しいのでこちらも掲載します。

4コホート研究(6サブグループ)のメタアナリシス。
糖質の割合を高い(60〜70%)群に対する低い(30〜40%)群のリスク比。
メタアナリシスの、対象者は27万2216人(女性66%、追跡期間5〜26年)。
総死亡数は1万5981人。
糖質の割合が低い(30〜40%)群と高い(60〜70%)群を比較した結果、
総死亡リスクは低糖質群で31%、有意に増加した。

結局、このメタアナリシスは、高糖質群(60〜70%)と中糖質群(30〜40%)の比較であり、糖質制限食(糖質12%)の群はどこにも登場しません。

中糖質群で、例えば2000kcal/日摂取したら、糖質は150〜200g/日

1回の食事の糖質量は50〜66gであり、追加インスリンの大量分泌が生じます。食後高血糖も生じます。

インスリンの過剰分泌に発ガンリスク、動脈硬化リスクがあることには、多くのエビデンスがあります。

そして食後高血糖にも発ガンリスク、動脈硬化リスクのエビデンスがあります。

すなわち中糖質食では、発ガンリスクや動脈硬化リスクは減らせないということが言えます。

スーパー糖質制限食(糖質12%)なら、インスリン過剰分泌と食後高血糖という明確な発ガンリスクと動脈硬化リスクが、ほとんど生じないという大きな利点があります。

結論としては中糖質群(30〜40%)は高糖質群(60〜70%)と比べて、総死亡率が優位に増加したという研究です。
中糖質群(30〜40%)では、「インスリン過剰分泌」「食後高血糖」という発ガンリスク、動脈硬化リスクがあり、
そこに結果としてさらに高脂肪・高タンパク食を摂取するパターンは、総死亡率が上昇する可能性があるということになるでしょうか?

Drカルピンチョのご意見では、

『「中糖質食(30〜40%)+高脂肪食」のパターンは「異所性脂肪沈着」を容易に生じて、それが総死亡率を上げる』とのことです。

http://低糖質.com/review/cat31/post_150.html

なかなか説得力のある仮説ですね。

こうなると、緩い糖質制限食(中糖質食)実践時には、脂肪の取り過ぎに注意が必要かもしれませんね。

スーパー糖質制限食なら、そのような心配はまったく無用です。
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江部先生の反論をまとめると、今回の記事の相手はスーパー糖質制限ではなく中途半端な糖質制限であると。しかも中糖質制限+高脂肪・高たんぱく食摂取パターンが総死亡率上昇の可能性があるのではとの事。

つまり、糖質制限だからと言って何でもどれだけでも食べて良いというのはやはり間違いであると言うことですね。(←間違っている人約一名)

糖質制限も行いつつ、やはり野菜中心の食事でカロリーには気を配り、腹七分目で行きましょう。

最終的にはやはりCR(カロリーリストリクション)に戻るのですかね。

今年の抗加齢医学会でもきっとこの話題は沸騰する事と思います。
やはり行ってこようかなと悩んでいる今日この頃。

1月26日、インフルエンザの流行で大変な時期ではありますが、1日休みを頂いて(休診にして)東京で行われた、日本消化管学会に参加してまいりました。

開業医で一人でやっていると、だんだん自分のやっている立ち位置がわからなくなり易く、井の中の蛙にならないためにも時々学会へ出席して医療知識をブラッシュアップしていく必要があります。
今回も大変勉強になり、明日からの診療にも生かしていけることと思います。

というわけで、今後もたまに休んで学会へ行っていることがありますが、どうぞご了承くださいませ。

本日は夕方より、来週火曜日のエフエムふくやまの番組「イブニングステーション・火曜日」で放送される「青葉台から健康発信!」の収録に行って参りました。

新年明けての第一回は、相手をして下さる昨年までお世話になっていたえみりんこと大西恵美子さんから戸田雅恵さんに替わって初めての収録でしたので、収録前からかなり緊張

でしたが、戸田さんも流石はベテラン(?)、無事いつも通り収録は終了。
えみりんも心配だったのか??お手伝いに来て下さいました。
(遅刻してましたけどね

放送は、15日火曜日夕方18時20分過ぎくらいです。
噛みまくりの収録が果たして編集でどこまできれいになっているかがお楽しみ

広島県がん対策サポートドクター

何やら聞き慣れない「がんサポートドクター」という言葉。

実は広島県が、がん対策日本一を目指していろんな活動をやっていく中で、実際にがん診療を行うがん診療ネットワーク(青葉台クリニックも参加しています)の更に外側で、地域住民の方のがんに関しての簡単なサポートを行えるドクターを研修により増やして、がん検診の啓発や治療後のサポートを広くおこなえるようにして行こうという試みです。

2時間ほどの研修会でした。
研修会を受講すると、広島県からがん対策サポートドクター認定証が頂けるそうです。



なのですが、


実際来られている顔ぶれを見ると、既にがん診療に普段から係わっているドクターが殆ど(=がん診療ネットワークに入っている)。あまり広がりが見られるという雰囲気でも無い。
内容も、受講者のレベルを考えれば物足りない(普段がん診療に殆ど係わらないドクターには良いのかもしれませんが)。
実際の本当のところの検診受診率を知ることが出来たのは収穫でしたが、じゃあ「啓発していきましょう!」と言われても、無関心にある人を検診まで持って行くのは実は至難の業。そこをどうするかに関しては、殆ど掘り下げられず。
サポートドクターを養成するより、コメディカル(看護師・療養士・検査技師・事務など)に向けて情報を発信して、市民の方々が常日頃から「がん検診」という言葉に接する機会を増やすこと、そしてどのように話を持って行けば無関心を関心そして受診に変えられるのか。
パフォーマンス学とかコーチングとか最近は色々あるのですから、そのような切り口も欲しかったかなと

と、ここで一人でぼやいてても何も変わりませんのでアンケートに記入して参りました。

年始からボヤキですみません

またしばらくサボってしまいました。

先日、忘年会で市内の某皮膚科の先生と話しをした際(熱傷学会とも縁の深い先生です)、湿潤療法なんてのがちまたで流行っていて困るという事を言われました。
ハイドロコロイド(商品名でいうとキズパワーパッドなど)を怪我をした時にそのまま貼って、随分大変な状態になってからやってくる事があるので、アレはいかんというお言葉です。
宴会の席ですので、反論を敢えていたしませんでしたから(酔っ払っておられるので多分通じません)、ここで一言。

どんだけ良い道具や器材があったとしても、使い方を間違えればとんでもないことになるのは当たり前
傷の状態がまだ落ち着いていないのに、ハイドロコロイドを使ってしまうと傷の部分の圧力が上がり、感染(化膿)を内部に向かって広げてしまう危険があります。なので、当院では傷が落ち着くまでは圧をあげないように処置材を使い、十分観察を行った上で安全と判断した段階でハイドロコロイドに変えます。
先日、熱傷学会から湿潤療法を一見否定するようなステイトメントが出てましたが、よく読むとやはり使い方を誤れば・十分な観察の下にと読み取れます。

つまり、湿潤療法が良いからと言って簡単に考えすぎて自己流でやるのが望ましくないというのが本当のところでは無いでしょうか。やはり、難しい傷は湿潤療法に慣れた医師の指導の下でというのが正しいあり方でしょう。

と、昨日まで思っていたら、
市内の湿潤療法を行っているという医療機関で初診を受けた方が本日受診され、最初の処置をハイドロコロイドで行っておられました(場合により間違いというわけでは無いのですが)。
剥がしてみると、ありゃーーー
(以下自粛)

まあ、やり方は色々あるのかもしれないですね

今晩は、福山地区内科会へ参加して参りました。
本職は一応、外科医ですが、日常診療では内科疾患も多く診る事になり受診していただく方々のためにも日々情報と知識のブラッシュアップが必要

というと、何だか偉そうなので

自分が日頃やっている診療が、現在の医療水準と比較して問題無いかの確認です。

今日の話は、「肺炎2012/2013」と題して肺炎の最近の話でした。

自分のやり方に問題なしという部分を確認して帰りましたが、やはりこれからは高齢者に「肺炎球菌ワクチン」更に勧めていかないといけないと再認識。
今年は75歳以上は福山市から3000円の補助が出ますからね
来年は分かりませんし。

インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチン、本格的な冬に入る前に両方射つ事、お勧めいたします。

昨日(18日)の朝日新聞にあった記事です。

医療や介護の世界ではもはや常識となっている口腔ケアですが、まだまだ一般にはどれほど大事な物か知られてません。
私の外来でも、「口の中のケアが大切なんですよ、かかりつけの歯科の先生や衛生士さんによく聴いて心がけて下さいね」と声を掛けることがあります。

しかし、返ってくる答えは

「私、入れ歯なんで歯磨きしなくていいんですよー、だから必要ないです」

違います。

関係ありません。

歯磨きなどの口腔ケアを元々行っていない→歯周病などを起こしやすい→歯を失いやすい→入れ歯になってしまう、という結果。
そして、記事の通り行き先には肺炎が待っているかもしれません。

肺炎予防に「肺炎球菌ワクチン」というのがあり、今年は福山市から1回3000円の補助も出ることがあり、当院でも75歳以上の方には積極的に勧めていますが、だから大丈夫というものでもありません。

ワクチン+種々の口腔ケア、きちんとしましょう。

ちなみに、歯の残存数と認知症の頻度って関連があるのです。
残っている歯の多い人ほど認知症の頻度が少ない。
咀嚼(噛むこと)は脳血流を増やすのでこの辺りの影響ですかね。

歯周病と心筋梗塞も実は関係あり、リスクをかなり高めます。

歯もアンチエイジングを!(日々の口腔ケアとメインテナンスを)


間違ってたら、歯科の先生どうぞご指摘下さい

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今日は天気の良い行楽日和の日曜日
午前中は月に1度の春日池公園でのノルディックウォーキングでした。
快晴、紅葉もきれいに色づく公園の中をしっかりと歩き満足。
こちらは、次回は12月9日の予定となっております。

昼からはまた別の”講演”へ。

広島県東部地区医師会医療政策会議主催の講演会で、タイトルは、
「消費税と医療政策」
慶應義塾大学の権丈善一教授のお話でした。
(某、衆院選立候補予定者や、市会議員の姿などもちらほら

医療機関で患者さんが負担する消費税は保険診療では消費税無課税なのでゼロですが、医療機関が診療に使うための材料やクスリなどを購入するのには消費税がかかります。
一般企業では稼いだ額の消費税から、仕入れた分の消費税分を差し引いて納税ですが、医療機関ではこれが無いため実質5%の消費税を負担していることとなります。
消費税増税が決まり、この5%が10%に上がってしまうと、青息吐息の医療機関が多い中での実質負担増は更なる医療の崩壊へも繋がってしまうこの現況をどうするか、そこが一番の問題点です。

講演の中では仕組みを分かりやすく、またどうして行くべきなのかへの提案もしていただきました。

その他にも、現在の民主党政権の裏側や自民党のいわゆる負の遺産など政治の裏話も結構聞けて、解散直後で総選挙も迫っている今、非常に興味深い話でした。

やはり大切なのは、自分できちんと情報を手に入れて(マスコミに頼るのでは無く)取捨選択して投票を行う。そして、その結果は自らがもたらした物だと自覚する。
このことに限るかと。
当たり前のことではありますが、投票する側にこの意識がなくなることにより政治がポピュリズムに走ってしまっているのが現況だというのが皆の感じているところでしょう。

選挙日まではアンテナを張り巡らして情報に敏感になりたいと思います。

(ちなみにその権丈先生の裏話はhttp://kenjoh.comにちょくちょくアップされるようです


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