青葉台通信

作者プロフィール:大阪大学医学部卒、大阪大学附属病院・ピッツバーグ大学メディカルセンター等での勤務後、現在は福山にて地域医療に従事。 様々ながんの入り口から出口までのケアと、生活習慣病から看取りまで、「不安を取り除く」「患者さんに寄り添える」医療のあり方を日々模索しています。 こちらのブログでは、日常診療で感じたこと、学んできたこと等、日記でお伝えする予定。趣味はバイク、好物はマンゴーと杏仁豆腐。

2013年06月

今日、訪問診療で長年見てきた患者さんの様子が夕食後おかしいとの連絡があり、行って診察している間に急変され虫の息に。
急いで家族に来てもらうよう連絡をしましたが、生憎遠方のため到着されたのは40分ほどたってからでした。
急いで来られたご家族は「死に目に会えなくて....」と悔いたように言われていましたが、実際に心臓や呼吸は止まってはいるのですが、まだお体はほんのりと体温が残りと言った状態です。

死に目って一体何でしょうね? 

テレビで見るような、心電図のモニターが全く平らになってしまった状態?
実はあれまだしばらくすると、ピコッと動いたりします。
呼吸が止まってしまった状態?
もう止まったかなと思っても、しばらくして2-3回深い大きな息をされることもあります。
医者が、何時何分って言ったその時点?
まあ、法律的にはそうかもしれません。

死に立ち会って思うのは、生と死というのははっきりとした境界があるのでは無くて、呼吸や心臓が止まって脳に血流が行かなくなっていたとしても、まだ生というのはぼんやりとその辺りを漂っている感じです。
家族や周りの人がそれを受け入れていくと伴に、それは徐々に薄くなっていって死に向かっていく、そんなイメージですかね。
仏教の四十九日というのも言ってみればそんな感じでしょう。

なので、大事なのは死に目にあうことでは無く、ゆっくりとその人の死を受け入れていく事のように思います。

尚、その方が亡くなったのとほぼ同時刻に、市内の友人の産婦人科病院では出産が。
輪廻転生ってあるのでしょうかね? だとすれば、きっとそのお子さんは元気で長生きすることでしょう。

遊びに行きたい土曜日の晩ですが、備後医療福祉政策研究会という会に参加して参りました。

福山・府中・尾道・三原から医療関係・行政関係・議員(国会議員・市会議員)など多職種が集まり、今後の備後の医療と福祉に関して共に勉強していこうという会です。

講演は、国際医療福祉大学教授の高橋泰先生。

興味深かったのは、普段人口あたりの医師数などの数字を見て医療資源が足りない足りないと思っていた物が、今後の年齢別の人口動態を見ていくとむしろおさまりがよく見えるところ。(もちろん、小児科や産科と言った各論で見ると足りない部分もあるでしょうけれど)
また、今後、東京圏・大阪圏・名古屋圏では高齢者人口の急増に地方からの高齢者流入(過疎となる地域)が加わり、医療資源も高齢者用の施設も全く足りなくなる見込みのことから、移住元の介護保険のお金が着いてくる状態での都市部から地方への移住というしくみが起こってくるかもとのこと。
そんな中では、瀬戸内地方は(山陽はでしょうけれど)医療・介護資源が比較的充実しておりその受け入れ先としては適当なのではないかと。
定年退職したら、気候も穏やかで地震も少ない福山へ移住を是非どうぞ!(介護保険を一緒に持ってきて)と、移住者を受け入れられるような魅力的な街作りを行政も一体となって今から行っていくのも良さそうです。

会の中では、横浜から福山に移住してこられた方の特別発言あり、福山に来て印象的だったことは、「お店も道もすいてる」「地元の人が福山を大事にしている気持ちが伝わる」だったそうです。

関係ないですが、人口密度と出生率は反比例するらしいので、出生率を上げるためには若い人の雇用を地方に生み出すというのはどうでしょうかね。

ハウスカ青葉より、職員と利用者さんとで社会見学に中国新聞福山制作センターへ行き、その写真を本日の中国新聞に載せて頂きました。

skitch



中国新聞さん、ありがとうございました。

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